【※未来の話※】のび太(30)「いらっしゃいませ。」

のび太(30)「いらっしゃいませ。」

2012年 東京某所の靴屋

のび太「いらっしゃいませ。」

?「すいません。こちらのお店は靴の修理はやっていらっしゃいますか?」

のび太「はい。当店でお買い上げいただいた商品でしたら。」

?「あ、いや。買ったのは別のお店なんでs・・・・・・のび太君?」

のび太「えっ?」

?「のび太君だよね?」

のび太「はぁ、左様ですが・・・・・・」

?「僕だよ。覚えてない?」

のび太「・・・・・・!? 出木杉君!?」

出木杉「思い出してくれたかい?」

のび太「出木杉君!ごめん、一瞬分からなかったよww 久しぶりだねぇ!」

出木杉「ホント久しぶりだねぇ。中学以来かなぁ?」

のび太「そうなるねぇ。僕ら、高校は別々だったから。」

出木杉「懐かしいなぁ。のび太君、靴屋さんに就職したんだ。」

のび太「うん、そうなんだ。」

のび太「あっ、ところでさっき言ってた修理って? ちょっと深刻そうな顔に見えたけど・・・・・・」

出木杉「あぁ、実はね、この革靴の底を張り替えたいんだけど・・・・・・」ガサゴソ

のび太「どれどれ・・・レザーソールか。結構磨り減ってるね。」

出木杉「就職祝いで父に買ってもらった大切な靴なんだ。今までに底は2回張り替えたんだけど、まだ張り替えられるなら張り替えたいと思って。」

のび太「そっかぁ。その2回張り替えてくれたお店ってのは?」

出木杉「会社の近くにあったんだけど、先月に廃業しちゃってね。他に修理してもらえるお店はどこかないかと探してるんだ。」

のび太「なるほどなぁ・・・・・・うん、分かったよ。うちで修理しよう。」

出木杉「えっ? 良いのかい? このお店で買った物じゃないのに。」


のび太「良いよ良いよ。基本、他店の商品は修理中に何かあっても保証ができないから断ってるんだけど、君とは昔のよしみだからね。修理させてもらうよ。」

出木杉「うわぁ、助かるよ。ありがとう、のび太君。」

のび太「どういたしまして。ただ、外底だけの張り替えじゃ済まなさそうだなぁ。」マジマジ

のび太「コルクの交換も必要かも知れない。」

出木杉「コルク? 何なの、それ?」

のび太「見たトコロ、この靴はグッドイヤーウェルトという製法で作られてるんだ。グッドイヤーウェルトは両底にコルクのクッションを挟むんだけど」

出木杉「???」

のび太「あぁ、ごめん、ちょっと分かりにくい説明だったねww」

のび太「まず、出木杉君が張り替えて欲しいって言ってた、この地面と直に接する底。靴裏と言い換えても良いね。これを外底と言うんだ。」

出木杉「うん。」

のび太「そして、靴を履いた時に足の裏と接する、靴の内側の底。これを中底と言うんだ。」

出木杉「あぁ、確かにどちらも底と言えば底だね。」

のび太「そうなんだよ。ややこしいよねww」

のび太「それで、さっき言ったグッドイヤーウェルトっていう製法は、この外底と中底の間にコルクのクッションを挟んで作るやり方なんだ。もちろん他にも特徴はあるけど、ここでは省略するよ。」

のび太「コルクのクッションは、持ち主の足裏の形に合わせて変形するから、すごく足に馴染みやすくて履き心地が良いんだ。」

出木杉「確かに。履き始めの頃より今の方が楽だ。」

のび太「そうでしょ? それがグッドイヤーウェルトの魅力の一つなんだ。ただ、あまりに変形しすぎると、外底の張り替えの時に一緒に交換しなきゃいけなくなる。」

出木杉「えっ? どうして? せっかく足に馴染んできたのに?」

のび太「うん、張り替えに使う新品の外底は真っ平らだからね。凹凸の付きすぎたコルクだと、その真っ平らな外底と上手く着かないんだ。」

出木杉「あっ、なるほど!」

のび太「出木杉君のこの靴は、まさに今言った凹凸が付きすぎてる状態なんだ。だから外底と一緒にコルクも替える必要があるんだよ。」

出木杉「なるほど、そういう事かぁ。」

のび太「だから外底交換とコルク交換を合わせて・・・・・・うん、10000円かな。」

出木杉「!? そんなに安いの!? 前の修理の時は外底交換だけで15000円ぐらいだったよ!?」

のび太「いや、もちろん普通はそれぐらいするよ、レザーソールだしね。でも、今回はちょっとオマケしとくよ。」

出木杉「いやいやいや、良いよそんなの! ただでさえワガママを聞いて修理してもらうんだから。この上、値段まで負けてもらうなんて・・・・・・」アセアセ

のび太「良いよ良いよ。気にしないで。流石に旧友から利益を取る気になんてならないからww」

出木杉「のび太君・・・・・・」

のび太「大丈夫だよ、ホントに。気にしないで。ただ、今、交換用のレザーソールのパーツがないから、入荷待ちと修理工程を含めて、1ヶ月ほど猶予をもらいたいんだけど、良いかな?」

出木杉「うん、それは一向に構わないよ。こんな格安で修理してもらえるなら、いくらでも待つさ。」

のび太「助かるよ。じゃあ、申込書に名前と電話番号を書いてもらえるかな?」サッ

出木杉「分かった。」サラサラッ

のび太「ありがとう。じゃあ、修理が終わったらまたこの番号に電話するから、そしたらいつでも都合の良い時に取りに来て。お代はその時で良いから。」

出木杉「のび太君、何から何までホントにありがとう。」

のび太「やめてよww 普通に仕事をしただけだからww 照れ臭いよww」

出木杉「のび太君、変わったね。」

のび太「えっ? そうかな?」

出木杉「うん、変わったよ。なんて言うか・・・・・・失礼な言い方だけど、すごくしっかりして、頼りになる感じになった。」

のび太「昔は僕、頼りなかったもんねぇww おまけにバカでマヌケでww」

出木杉「その上、ドジでぐうたらだったww」

のび太「おいコラ、言い過ぎだろww」

出木杉「wwwwww」

のび太「wwwwww」

出木杉「でも、ホントにすごいと思うよ。さっきの修理の説明もすごく分かりやすかったし。『プロだなぁ』って感じがしたよ。」

のび太「いやいや、あれは靴屋の基本の“き”だよ。入社1年目で覚える事だから。」

出木杉「そうなんだ。じゃあ8年目の今は、もっとすごい知識を持ってるんだね。」

のび太「僕はまだ5年目だよ。中途入社だからね。」

出木杉「あっ、そうなの? 前は何の仕事を?」

のび太「いや、僕は・・・・・・」

のび太「・・・・・・25歳まで、引きこもりだったんだ。」

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